ずっと生きている気がしなかった。ずっと死にたい気分だった。死ぬ理由があったわけじゃあないけれど、生きる意味も見いだせなかったから。あしたこの生命が断たれたら、感謝こそすれ後悔なんてぜったいにしないと言いきれるくらいだった。わたしが手にしているものはほとんどが曖昧で、生へ執着する理由になるものなんてないように思えた。

でも、ケイは。目の前に存在した、ケイは。わたしの目の前でその端正な顔をいちいち歪めて、笑い、怒り、悲しみ、困り、可愛らしく、ときに残酷に、憎らしい、何より愛おしい存在として、そこにいた。いてしまった。生きていた。わたしに生を教えてしまった。

ケイがいる限り、わたしは死ぬときに後悔するんだろうな、と、非常にうざったく、ありがたく、思った。