きみの過去になったげない

過去にほんとうに好きだったおとこたちは一様にそれなりに美化されてわたしの中に立て掛けてあります。写真のように。月日って額縁が飾ってる。彼等の中でわたしもそうだろう、そうであることでしょう。
なんかいいよなあ。過去って楽だな。おぼえていれば忘れることもできるし美化したり好き勝手に加工して持ちあるける。当時はそんなキレイなもんじゃなかったくせに、過去のなかのわたしも彼らも気楽なもんだ。
過去となったひとの中で過去となったわたしが美化されているすがたを聞くのは悪い気持ちでない、だってつきあいのあった当時の生肉のわたしはそこにはなくて生臭いにおいも血も年月が洗い落としてとてもきれいだ。現実にそうありたいようなわたしなのそれは。
でもいま好きなひとの過去にわたしはならない。なりたくないじゃなくてならないの。強い意思をもってならないの。
生臭く可愛くなく、たかいたかい体温をもって、好きなひとの前に存在しちゃうの。