わたしは

人のために何かをするなんてことはない

いままでしたことがない

できたためしがない

自分のためにしかうごけない


たとえば、ものをたべる

自分の空腹をみたすためにたべる

これはあたりまえに自分のため


たとえば、いっしょうけんめい着かざる

鏡のなかの自分をうつくしいと思いたいから

人によく見せたいから着かざる

これももちろん自分のため


じゃあこれは? 恋人にプレゼントをあげる

これは恋人のため?

そうだっていうひともいるとおもう

恋人によろこんでほしいから 恋人のために

でもちょっと待って

それって恋人のよろこぶ顔がみたい自分のためではないの?


じゃあこれは? 親のかたきを殺す

これは親のため?

そうだっていうこともできるかもしれない

親の無念をはらすため 親のために

でもちょっと待って

それはたぶん親をころされた自分の無念をはらすためなんだ


ぜんぶ自分のため

自分の満足のためにうごいてる

そのことを恥じたこともない

むしろ人のため人のためといいながらうごくひとを嫌悪する


わたしは

人のために何かをするなんてことはない

いままでしたことがない

できたためしがない

人のために何かをする人をみたこともない

真実にそうできる人をみたことがない


もしいるのなら

会ってみたいとおもう

こんなふうにしか考えられないわたしに

そのやりかたをおしえてほしいとおもう

人のためにうごくこと