いち

はじめて私に「すき」っていってくれたひと。17のとき。かれの部室のまえ。景色がピンクいろにそまるのがみえた。ほんとうに。


わたしはそのひとがほしくて仕方なかった(筋肉質でこんがりやけたからだも、くったくない笑顔もぜんぶ) から、すきなひとがじぶんをすきだなんて、そんな奇跡があるなんて、びっくりした。せかいは私の味方だって本気でおもったよ。


かれとはおもいつくかぎりのカップルらしいことをした。チャリの2けつとか、放課後に映画をみたり。みなとみらいを手をつないであるいた。観覧車にものった。てっぺんでキスをした。


かれとのキスやセックスのたびに、こんなしあわせがこの世にあるものなのかとおもった。すきなひとと結ばれるなんて。こんなにしあわせで、きっとすぐに突きおとされるんじゃないかとうたがった。こわくなるくらいしあわせだった。


おわりがくるまでの5ヶ月はあっというまだったような、ながかったような。おたがいに魅力をかんじなくなってわかれた、それも真実だけど、あのゆめみたいな5ヶ月のあいだ、私がかれをあいしたこと、かれが私をあいしたことも、ほんとうだった。そうおもいたい。