ひゅう、ひゅう

息がくるしい。そんなはずないってじぶんにいいきかせてみても、この6畳の空間でわたしの息がつまってるのはちょっとたしかだ。部屋になりひびく洗練されたおんがく。すてきだなっておもいながら思いしる、わたしはもっと下世話な音が好きなのだ。もっといえば、わたしはおんがくなんてちっとも好きじゃないのだ。わたしの好きなものをよせあつめてできた雑多で統一感のないこの部屋に、ひどく研ぎ澄まされたトラックが響いているって、拭いきれない違和感。かえでさんはわたしの部屋をだいじに使ってくれる。それはわかっている。かえでさんがこの部屋にいてくれるのはとてもうれしいことだ。それもわかっている。だけど今日は、今日みたいな夜は、とても息がくるしいよ。