ハニーデュウ

おなかがきし、きしと唄うのを

呆けていたのできき逃してしまった。





この部屋というお城には毎夜楽しい夜があるのでわたしはそれを消費する。

ころころ喋ってぱたぱた笑う。かれと。

音楽をかけてお酒をのむ。だって毎日がお祭りだから。





気づくのはいつも口から、大量のなめくじみたいなわたしの支配人たちが

嗚咽になってあふれだしたあと。

おなかのきし、きしは

♪だからいったのに♪

と声をそろえる。





みにくいなめくじをきれいなかれに見せたくなくて

かきあつめて窓から放りなげようとするけれど

かれらは指のあいだを器用にすりぬけてギグル ギグル。





目を血ばしらせてぬめりにまみれたわたしを

でもかれは、いとしのひとは

なめくじの群れごと毛布にくるんでとん、とん叩く。





とん、とん、エグ、エグ、とん、とん、エグ、エグ、とん、とん、とん、ヒク、ヒク、とん、とん、うー…、とん、とん、とん、とん、………………





なめくじはぞろ、ぞろとかえりはじめる。わたしの中に。

わたしはかれらがにくいはずなのに、すこし安堵する。





とん、とん。



かれは塩をつかわない。

かれは塩をつかわない。



すとん わたしはあたたかい毛布とうでの中で落ちてしまう。

















今夜もお祭りだったのにわたしはそれをやめてしまった。





うずくまる。なめくじ抱えてうずくまる。

かれのおしえてくれたあまい、あまいみつをはんでいる。