つもれつもれ! あもーれ!

 このあいだ日記に書いたせんぱい(http://d.hatena.ne.jp/xiangli21/20090803)と、付きあっています。2週間が経過しました。

 くせのある髪の毛のさわりごこち、その毛束を少しどけるとあらわれる肉のうすい耳たぶ、長いなんてもんじゃない下向きのまつ毛の、すきますきまからのぞくこげ茶のひとみ、すべてのものに疑問をもつ余地を探しているような鋭い目線や、一滴一滴だいじにこぼすみたいな語り口、空間ぜんぶを深い深いみどりに染めてしまうような声。せんぱい(すのう氏、にします)のあれやこれやが好きで好きでたまらなくて、いま「彼のどこが好きなの?」と訊かれたら、小一時間は好きなところを羅列しつづけるマシンガンと化すことうけあいです。だからどうかだれも訊いてくれるな、いや、ほんとうは訊いてほしい! 語らせてほしい!(うっとうしい)もうね、デートしててもね、どうしてあたしのとなりにいるのかわからないくらい、きれいな顔をしているのです。着ている服もとってもおしゃれで、ああもう、かっこういいよう。こんなひと、ほんとうにいる? ここにいる? 存在している? 夏の暑さがみせるまぼろし、そう、蜃気楼ではないの? と本気で不安になるので、手をつないでその感触をたしかめては「ああ、ほんとうに彼はいた、存在していた」と感じて安心するのです。そんなくりかえしです。こういうのって哲学の入り口になるのかしら。(何をいっているの)

 とまあいい具合にあたしの頭はわいていて、そのわき具合をすのう氏に隠すのにさいきんは必死です。ほんとうはもっと好きっていいたいしいわれたいし、会いたいし、くちびる腫れるくらいキスしたいし、おやすみっていうためだけに電話したいし、なにか身につけてくれるものプレゼントしたいし、お手製弁当もってデートいきたいし、携帯のメアドをすのう氏ラブみたいなのに変えたいのに、これらのきもちわるい願望をぐっと中にとじこめて、あたしはさわやかに笑うのです。余裕ぶった表情で、「すごく好きになっちゃったみたい☆」なんてすっとぼけてみせるのです。まるで乙女みてーだ! すのう氏がひょうひょうとしてるから、ついつい合わせなきゃって、テンションを揃えにいってしまいます。ちきん! すのう氏は「もっとがつがつぶつけてくれればいいのに。そのほうがxiangliらしさが出るじゃない」といってくれているので、じょじょに小出しにしていけたらいいなっておもいます。


 すのう氏はどう考えてもあたしといちばん付きあいそうにない人種で、つまりとってもまじめで誠実なひとです。あたしは自分がふらふらしていたい性格なせいか、どうも自分と同じにおいのする、ふらふらゆらゆら自由奔放なひと、悪くいえばあんまり恋愛をまじめに考えようとしないひとを好きになることが多かったのです。そのほうがおたがい気が楽なんだもの。あなたは自由なんだから、あたしも自由でいさせてよね。という感じ。「恋のABCはCから行ってなんぼ」という考えの持ち主や、当たり前みたいな顔して「俺ってゴムはつけない主義だから」と言ってのける男のひとと、「ちょwあんたまじクソヤローだなw」「うるせーうんこ女w」とかいいあいながら一緒にいるのが好きでした。そんなクソヤローホイホイあたしの前に、突如として現れた新人種すのう氏は、「○日におんな友達とサシでごはんたべに行くけどなんでもないから」と前もってメールを送ってきました。そして「そういうこと(男性と食事とか)あるならxiangliも言ってほしい」といいました。「よけいな心配かけたくないし、したくもないからね」と。ちょ。なにそのあたらしい文化。“異性と遊ぶときは報告しあうカップルがいるらしい”って、都市伝説かなにかかとおもってました。あたしはそんな決まりごとはぜったいげっろげろ〜だし、窮屈で仕方がないだろうとおもってました。でもすのう氏にそう言われたとき、ものすごくうれしいと感じる自分がいることに気づいてしまったのです。そんなふうに気づかってもらえること、気にしてもらえることに、感動してしまって。あたしはどこかですのう氏の持つような誠実さを欲していたのかもしれないです。どーせてきとーにしか愛してもらえないでしょあたしみたいなクソアマなんか、というスレた思いが大いにあって、でもあたし重いのキライだから軽いぐらいの男のひとがちょうどいいんだもんねっ! まじめになんか想われなくったってぜんぜんかまわないんだからねっだ! っていいながら、はぁ、でもなんだかなぁー、だれかひとりでもあたしのこと真剣に想ってくれないもんかなぁ……ないだろうけどさ……。と、本当は望んでいたのかもしれないな、と。望んでいる自分から目をそらしてただけなのかも。なんてね、そんなかわいげのある自分に、気づかせてくれたすのう氏なのです。すのう氏はほんとうにまじめで、そのメールのことだけじゃなくて万事そんなかんじで、ゴムもちゃんと持ってるし、そんなすのう氏とのお付きあいは、今までてきとーに生きてきたあたしにとって異文化コミュニケーションのようなものです。毎日がどきどきの連続。毎日がエブリデイ。

 いや、いったいなんの報告だか。読んでくれて、ありがとうございました。