つみかさね罪重ね

生きもののいのちをひとつもうばわずに生きるほうほうはないし、ひとをいちども傷つけずに存在するほうほうもない。あたしがここにいるためには死体と傷がいっぱい。子供のころ、食卓でいいにおいをただよわせる褐色のかたまりが、元は生きた動物だったと知ったときのあの、衝撃。ははおやがあたしを見るときにときどきするあの、いたいたしい表情。つみ、つみ、つみ。しんしんと。
ころしたもの・きずつけたもののために生きていくつもりなんかさらさらない、けど、あたしなんかもともと、存在しなけりゃよかったのに。