因果

最近またマーサと仲がいい。長電話したり鍋したりドライブしたり日帰りで温泉にいったりで、ほとんど毎週あそんでいる。お互いの部屋に泊まることもある。いちばん欲しいときには連絡すらくれなかったのに。返事もこなかったのに。熱望しなくなったとたんに構ってもらえるようになるなんて、皮肉だなあ。やっぱりマーサには、「マーサ以外の誰かを好きなあたし」が心地よいのかもしれない。

ふたりしてアホ面でジャンクフードをほおばっているときに、マーサがわざとらしく、そういえばといったふうに話しだした、好きな人ができたこと。年上の美人だって。初夏のあの日腕枕をしてくれながら、「好きって気持ちがわからないんだ」とつぶやいたマーサに、好きなひとができた。よかったなあっておもう。反面、どうしてあたしじゃだめだったの。て、マーサを好きだった1年半ぶんのいたみが顔をだす。

マーサの好きなひとには恋人がいるのだという。だからマーサは、「不毛な恋愛なんだよね」と笑った。よわよわしいその表情を、あたしはどこかで見たことがあると感じた。きっと自分のだ。恋人のいるマーサを好きだったころの。マーサは1年半経って、あたしと同じ場所にたたされているんだ。ざまあみろだ。いっぱい苦しめばいい、長いあいだあたしがそうしていたように。

なんていう、さ、イジワルな気持ちがあるのもホントのとこだけど、やっぱりマーサにはあんなおもいはしてほしくない。マーサによってあたしが傷ついたことなんて関係なく、マーサはうまくいくといい。

因果なんかめぐらない。関係ない。