流れ着け

ベッドサイドがティッシュの海、海にはくたくたのゴム3つ。片付けることのできないのはなんで。
フェラチオをする夢を見て目が覚めて、う、う、う、いやだああ、きもちわるい、セックスきらい、泣いたのは数日前のことなのに、にくいにくいセックスを重ねたのは、「もしかしたら」って思ってしまったから。「もしかしたら」なんてあるわけもなく、相手の男には彼女がいた。帰りぎわになってそう言った。すかさず返す「そうなんだぁ」には失望の色をすこしも混ぜない。こういうのは簡単、だって慣れているもの。笑って男と話しながら、少しでもわたしは失望したのかどうか、それもわからなくなった、慣れすぎて。
男は帰り、残ったのはティッシュの海と、死んだ魚みてーなコンドーム。それをながめるわたしも、死んだ魚みてーだ。たゆたう、たゆたう、たゆたう。