2011/01

 今年のはじまりはちんまりとしたあの町でむかえて神社の一角で燃えるほのおを見つめながらとなりにいる人とこれから住むであろうどこか知らない町についておもいをはせた。買ってもらったばかりの手袋はまだつやつやのグレイをしていて毛糸の一本一本は焚き火の熱気をとりこみわたしのてのひらをあたためた。帰るみちみちこの町をすきだとおもった。きんと冷えた冷気がほほを刺すのがここちよく、つないだ手にはほのおの名残があたたかく、河の水はいつもと同じに流れた。次の町に河は流れているだろうか。銭湯はどうか。夏のお祭りはどんなだろう。考えながら顔がにやけた。今は知らないその町をあいすることはわかっていた。つないだ手をくっくっと握るとおだやかな力がそれに応えてくれた。