2009-01-01から1年間の記事一覧

ドア

朝、机の前にあぐらをかいて、YouTubeでアニメを観ながら、ゆっくりとマスカラを塗っていたら、部屋のチャイムが鳴らされた。ピンポン、ピンポーン。軽快に2回。宅配便が来る予定もない。新聞の勧誘か何かかもしれない。そう思ってあたしは、足音をたてない…

印象バトン

id:you-me-goさんからバトンをいただきました。 うわわ。うれしー! ありがとうございます!あ、えーと、たたみかた、たたみかた……。

なにかが動く、日曜日。雨がやんだ、月曜日。

日曜日の早朝、バイトを終えると店から飛び出して、自転車に飛び乗った。雨の中を全速力でこいで自宅に向かった。降っていたのは霧のようないやらしい雨で、着いたときには髪も顔もワンピースもじっとりと濡れてしまっていた。部屋の前で気を落ち着けてから…

雨上がりのベンチ

背後に流れる川の音をききながら、湿気をいっぱいに含んだ木のベンチに腰かけて。コインランドリーで洗濯ものが乾くのと、彼のメールを待ってる。 うすいジャージに短パンをはいて、ビーサンをつっかけてきただけの体からは、風呂あがりのほてりが溶け出して…

パスアウェイ

1年。ある人と知り合って、好きになって、その人が彼氏になり、共に楽しい時間を過ごし、別れ、元彼になり、元々彼になり、記憶もほぼ消え失せてしまうには、充分な歳月。だから彼にとってあたしが、友だちからセフレになり、たくさんの時間を共に過ごし、…

つれづれ

一年まえには、大好きなセフレが毎日のようにうちに泊まりにきてて、一緒に暮らしてるみたいだったのに、あれからたった三百何十日のあいだに状況はまったく変わってしまった。なんでだろう。彼の小さな転勤のせい? あたしが深夜にバイトをはじめたせい? …

ひだまりのうた

先週は、3日つづけて好きなひとに会えた。ふた晩は彼の家に泊まって、3日目はあたしの部屋で過ごした。彼の部屋もあたしの部屋もすごく居心地がよくて、それは彼がいるからだと思った。存在するだけで、その空間におだやかなひかりが立ちこめる。ひなたぼ…

ひとが生きたまま焼かれる映像をたて続けに見せられる、夢をみた。画面のなかで、火をつけられた人びとが何か力強い声で訴えかけている(わたしの知らない言語だった。)のも聞いた。きっと神様の名前のような気がした。その声は炎が強まると絶叫にかわり、…

あー、これ、これ、これなんだ

朝目覚めると、雨音が部屋の静けさを、ひかえめにおぎなっていた。あわてて起きあがって、部屋を見わたして、いつもみたいに「ゆめかぁ」呟いた。ぱた、ぱた、ぱた、雨音。でも、今朝はいつもとは違っていた。布団のわきに、飲み残しの野菜ジュース。洗濯か…

彼氏と

別れることになった。今日彼がこの部屋を出ていく。 2ヶ月前に彼がこの部屋に持ちこんだ、ダンボールにしてわずか3つぶんほどの生活品は今、部屋のひとすみにちぢこまって、静かに集荷を待つのみだ。あたしはこれから学校に行って、戻ってくるときにはこれ…

セフレとのこと

ついこの前まで、一年間くらい、わたしにはセフレがいた。 いまの部屋でひとり暮らしをはじめてすぐ、かれが入り浸るようになった。合鍵を作って、会社のあとにはわたしの部屋に帰ってきた。多いときには週5日くらいを一緒に過ごしていた。かれが帰ってくる…

a hydrangea

いつだったかサークルの後輩の家でみんなでワイワイ鍋をつつきながら飲んだくれていたときに、お酒の席だしもうみんな脈絡のない会話しかしないんだけど、何の流れか「○○を○○にたとえるとなに?」という話になった。「Aちゃんは動物にたとえるとリスって感…

自由

自由でいなければいけない、あたしは自由でなきゃ、という思いにとらわれすぎて、むしろ自由でない。がんじがらめ。

メルティング

午前5時、バイト先のミーティング(という名の飲み会)でさんざんな気持ちになって帰ってきたあたしを、彼は玄関先で抱きしめて、「風呂いれてあるから入りなよ。」と言った。あたしがびくびくしながら「におう?」ときくと、「よどんだ空気のにおいがする。洗…

フラジール

ひどい音のしたほうを見ると、割れた鏡が視界に入ってきた。荒れた息がしんとした部屋に吸い込まれていく。彼が息を切らしながら、こわい顔をしてたたずんでいた。見たこともないような昏いいろの眼が、こちらをぎろりとにらんでいる。 ぎざぎざに割れて尖っ…

メモリースティック

彼から借りたデジカメは、あたしの写真でいっぱいで、なんだか泣きそうになった。つきあって2週間足らずとはおもえないほどの枚数。いつの間に、と驚くようなショットもたくさんある。もっとほかに撮るものあるでしょーになんでこんな間抜けな寝顔とか、す…

じつは

あたしは今、以前日記に書いたひとまわり年上の彼ではなく、40歳のベーシストと付き合っている。彼とは20歳近くも歳が離れているとはいっても、とてもそのようには見えないし(ふたりで行ったカフェの店員に『25歳くらいですか? もっと若い?』と言われてい…

あいするあなたはこわいひと

彼と会うと心底疲れる。情緒不安定な彼に触れるたび、あたしの暗い暗い部分がのそりとうごめきだすのを感じる。 いなくなった わけじゃなくて いまはねむっている だけなんだよ って、思い知らされる。やめてやめて、呼び起こさないで、とあたしは叫びたくな…

メモ

とあるライターがあたしに言った。 「愛されなかった人はそのいたみを、愛することで克服することができる。」 まっすぐ目を見てそう言った。 いやん。かっこいい♪じゃなくて。たしかにそうかも。格言だな。

インク

なん人と愛のないセックスをしても、なん回まるめたティッシュみたいに、ひと晩でぽんっと投げ出されても、なん度ひどいだまされ方をしたって、ぜったいに汚れてなんかやるもんかという心もちでずっといた。ずたずたになって、泥みたいな涙を流しても、また…

100/0

防弾チョッキ着たまま恋なんかできるわけない。でも最初っから裸体で全てさらけ出してても引かれちゃうわけで。あたしはそのあいだの丁度いいあんばいがつかめないんだ。

セックスに

あまり多くのものを感じなくなった。10代のころは、それさえあれば何もいらないと思うほど圧倒的な幸福感を、セックスから与えられていた。幸福感だけでなく、吐き気を催すほどの充足感。悲鳴をあげるほどの快楽。包みこまれるような穏やかな気持ち。すべて…

まちぼうけ

会社の飲みのあとうちに来るといっていた友だちが、だいたいこのくらいって約束していた時間を2時間すぎているにもかかわらず来ないので、パソコンで柴咲コウを流して、キャンドルに火をつけて、好きな香水を撒いて、床に大の字になって転がっている。あー……

奇跡みたいなことは不意打ちで起こる

2月10日の日記のひとと付き合うことになった。 ひとまわり年上で背が高くて声が低いひと。 「あたしと付き合ってくれるんですか?」、 かけひきのできないあたしはまた自分から言ってしまった。 “しまった”と思いながら、疾走る感覚がよみがえるのを感じ…

ティッシュペーパー

あたしは時々ティッシュのように扱われる。白濁を吸い取ったらごみ箱にぽい。ごみ溜めの中でかぴかぴにひからびる。ただひからびていくだけ。だれかあたしに精液以外の潤いを与えてください。

くだらない会話を記録していこうというシリーズ

電話にて r「北海道で何してきたの?」 a「サッポロビール工場にいってきちゃいましたよ」 r「なにそれ超楽しそう! ビール作ってるとこ見てきちゃったわけ?」 a「って思うじゃないですかー。ところがねー、工場の機械ぜんぶメンテ中だったんですねぇー」 r…

エンプティ

きのうは元々彼のケイとデートだった。ショッピングモールをぶらぶら歩き回って、たわいない話をしながらアイスを食べた。 1年経ってもあたしたちふたりのあいだにある空間の、居心地の良さは変わらない。変わらなさにびっくりした。おもしろいくらいに会話…

わくわくさん

バイト先に来てたお客さん(男の人ふたり)となかよくなって、このあいだ飲みにつれていってもらった。おいしいお酒と鍋をごちそうになって、しあわせだった!楽しくってつい、はめをはずして飲みすぎてしまい、タクシーで家まで送ってもらったり、すごく迷…

ひさしぶりの休み。

もらったりなんだりでいつの間にかたまっていた入浴剤のかずかずを消化しようと思いたち、家事の途中だけど投げ出していま真っ青なお風呂に入浴中。水であそんでみた。体育座りでしか入れない小さな浴槽にも探してみればきれいなものは存在した。世界になら…

あれこれ

・日ようび、好きな人がよく知っている街でバイトだったので、終わるなり好きな人に電話をかけて「なんかいいお店ないー?!」ときいた。ほんとうはあたしだってお店ならいくつか知ってるから、そんなの電話をかける口実でしかない。彼は電話で道案内してく…